知能発達には問題はなく、特定の分野で偏り

前回は、発達障害の中の代表的なもの、ADHDについて書きましたが、今回はLDについてお話しします。これは「学習障害」と言われているものです。

「学習障害」は、全体的な知的発達には大きな問題がないのに、ある特定の領域において苦手さ、偏りがあることです。
よく見られる領域としては「読む」「書く」です。また正式には入っていないかもしれませんが、手先の不器用さというのもここに入れたいなあ、という思いがあります。

前回までの発達障害像が乳幼児期から目立ってくることですが、このLDについては小学校に入ってからの相談が多いです。
漢字が覚えられない、板書ができない、音読ができないというものです。そのため、知的発達の遅れが疑われて検査や行動観察の依頼が来ることが多いのです。

障害ではなくあくまで「特性」

私は発達検査の仕事もしているのですが、そういう主訴のケースで、実際に検査をしてみると、見事に下位検査によって凸凹があって、知的発達が全体的に遅れているわけではない、ということがわかります。

それがわかった時の保護者の方や本人の笑顔を見ると、本当に検査をしてよかったと思うのです。その子の特性がわかって、今後どういう支援をしていけばいいのか、見通しが立ちやすくなるからです。

検査をすることで、苦手さの背景が見えてくることがあります。
「視覚的な記憶の問題」「目の動きの問題」「形を正確にとらえる認知の問題」「手先の筆記の問題」「注意の範囲や持続の問題」「視覚的な過敏性の問題」など本当に背景は様々なのです。
実際の支援となると、現実問題難しいことが多く、課題は大きいと感じています。

学校という場は同じことを同じ教材で教え、同じ宿題やテストが課されることがほとんどです。
そういう教育現場の中で、「漢字練習は少なめに」「ノートをとる代わりにプリントを配布して」「大きな文字ポイントにして」といったことを担任一人にお願いすることはとても難しいのです。

先生・保護者の皆さんへ

先生方向けと保護者の方向けに以下のようなことを提案しています。
その中で日常生活に取り入れやすいことをやっていっていただけるといいなと思います。

■先生方向け
・板書教材の工夫:板書するところを色で囲む、最低移すべきところだけ印をつける、板書時間を長くとる、選択式や単語のみの記入方法を増やすなどです。
・授業フォロー:単元が終わったらまとめプリントを配布。

■保護者の方向け
・目の運動:目の動きをスムーズにするために視機能訓練を行う。DSの「眼力トレーニング」や市販のビジョントレーニングのワークブックなどおすすめ。
・道具の吟味:使いやすい筆記具や文房具を見つけるとスムーズ。
・合う方法を見つける:自分に合う勉強方法や覚え方、ノートの取り方、など工夫しましょう。耳から聞いたほうが理解して覚えやすいならば音読して記憶したり、漢字を覚えるときに「人が木で休む」など言語化してみたり、合う方法を模索しましょう。

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臨床心理士 須々木真紀子

臨床心理士をしています。
主婦であり、母であり、お仕事の時には「先生」に。

普段、様々な相談を受けますが、ここでは特に子育てに関してお話していきたいと思います。
お悩みやお困り事、解消のきっかけにでもなれたら嬉しいです。
よろしくお願いします(^^)

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